「政治和解」から1年目を逸らしてはならないこと |
こうした状況の中、昨年4月9日、「政治和解」が成立した。しかし、それは、「人道的解決」の名のもとに、民営化や国家的不当労働行為による大量解雇、吹き荒れた労組破壊攻撃の社会的責任・法的責任を不問に付すものであった。
それから1年。誰もが目を逸らして語ろうとしないが、現実に進行したことは労働運動とその未来にとって大変な事態であった。
国労は「和解」した途端に闘争団員の組合員資格をはく奪し、連合加盟の意志を表明し、「これからは企業内組合に撤する」として、就業規則そのものである「総合労働協約」の締結をJRに申し出て、この7月の国労全国大会では、JRに雇用された者だけを組合員とする「規約改正」案が提出されようとしている。
戦後日本の労働運動の牽引車であった国労、そうであるがゆえに分割・民営化攻撃の矛先が集中した国労が、1047名闘争の旗を降ろした途端にここまで転落し、そして今、「闘争終結」が表明されたのである。 |
勝利の展望は闘いの中にある |
1047名闘争は、国鉄分割・民営化から始まった新自由主義攻撃への対抗力であり、反撃の拠点であった。国鉄分割・民営化で何が起き、それ以降労働運動がどれほどの後退を強いられ、労働者がどれほど酷い現実におかれていったのか。そのことを考えたとき、1047名闘争がこんな形で旗を降ろしたとき、労働者の権利、労働運動の未来は一体どうなるのか。
われわれはそうした時代への危機感をもって、昨年6月、「国鉄闘争の火を消してはならない」と訴え、国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回を支援する全国運動(国鉄闘争全国運動)を立ち上げた。この訴えは、呼びかけ人を先頭とした全国の仲間たちの努力によって大きく広がりはじめている。40の地域や職場に全国運動の地方組織や支援する会が結成され、新たな闘いが根を張りはじめている。
われわれがこの運動で目指すのは、第1に、労働運動の後退・権利喪失の原点となった国鉄分割・民営化を絶対にあいまいにせず解雇撤回をかちとること、第2に、新自由主義攻撃に立ち向かう全国の労働者の階級的団結をつくりだすこと、第3に、どんなに小さな芽であっても職場から自主的な闘いをつくりだすこと、第4に、全国の力で解雇された仲間たちを支えることだ。
動労千葉は、この1年、5波のストライキに立ち上がり、業務の全面的な外注化攻撃を阻止した。相次ぐ組織破壊攻撃との困難な闘いの過程だったが、JR千葉支社では10年にわたり、検修・構内業務外注化を阻止し続けている。この闘いの渦中で若い仲間たちが動労千葉に結集しはじめている。
労働組合の力は職場の団結にあり、勝利の展望は闘いの渦中でこそ生まれる。われわれは、どんな困難なときもこの原点を忘れずに闘い続ける決意だ。 |
労働運動の危機と国鉄闘争 |
3月11日の大震災と原発事故を契機に情勢は一変した。高濃度の放射線によって無数の人々が生命の危機にさらされ、すでに全国で数十万人の労働者が職を失って路頭に迷い、被災地の悲惨な現実を口実として政府の号令一下、公務員労働者の賃金が削減され、農・漁業は壊滅的な打撃を受け、大増税や社会保障制度の解体攻撃が襲いかかろうとしている。
怒りの声は社会の隅々まで積み上がり、デモとなり、政府や東電への抗議行動となり、生き抜くための闘いとなって燃え上がっているというのに、労働運動の深刻な危機が生まれている。多くの労働組合はこの現実に抗議の声すらあげず、「復興」の名のもとにナショナリズムや挙国一致が煽られる中、階級的視点や闘いが放棄されている。
JRの職場でも、昨年の「政治和解」をきっかけに、「国鉄分割・民営化の総決算」というべき攻撃が始まっている。JR東日本は、国鉄労働運動の最後的な解体を狙って、JR東労組と手を結んだ分割・民営化以来の職場支配・労務政策の大再編に踏み出した。その前提となったのが1047名闘争の「政治和解」と国労の労資協調路線への転落だ。
業務の全面的なアウトソーシングによる雇用破壊・非正規職化、基地・職場の大再編による団結破壊、賃金制度改悪等、「民営化の完成」に向けた労働者への攻撃が激しく吹き荒れている。
われわれは、解雇撤回・外注化阻止の闘いを軸に、この攻撃に組織の総力をあげて立ち向かい、その渦中で何としても組織拡大を実現する決意を固めている。 |
国鉄闘争の火を消すな |
われわれが国鉄闘争の中で追求してきた課題がより普遍化し、より切実に求められる時代が到来している。国鉄闘争の火は絶対に消してはならない。労働運動の復権こそがこの時代に求められている最先端の課題だ。われわれは、それがいかに困難な課題であっても、確信をもってこの道を進むことを決意している。国鉄闘争の火を消すな。1047名解雇撤回、業務外注化阻止、新自由主義・震災解雇と闘う反原発・反失業大闘争をつくりだそう。
全国の仲間たちに訴えます。わたしたちは闘い続けます。国鉄闘争全国運動、動労千葉の闘いへのさらなるご支援をお願いいたします。 |